前回のコラムにも
洞察力、観察力が優れていること
また、気配り・目配り・心配り
そしてその感覚が優れていれば、
大事な場面で必ずチームの力になる。
こうした
目に見えない能力は
何もレギュラーだけが
備えなければならない能力ではない。
高校野球の世界で
勝ち上がろうと思えば
レギュラーだけではなく
それ以外のポジションの選手の
力も大事になる。
その一つが３塁コーチャーだ。
プロ野球選手の世界では
コーチ(大人)がコーチャーを務める。
一瞬の状況判断に優れていなければならず
このコーチャーの判断によって
該当する選手の得点や打点など
個人成績にも反映されるため
陽の目を見ることはないが
とてつもないプレッシャーが
かかるポジションの一つだ。
| ３塁コーチャーは信号機
この3塁コーチャーというのは
高校野球という世界では
レギュラーになれなかった選手が
このポジションにつく。
しかし
この3塁コーチャーは
信号機とも例えられるほど
走者にとっては大事な役割を担う。
コーチャーが肩をぐるぐる回せば青。
つまり、ホームまで一気に駆け抜ける。
コーチャーが両手で制止すれば赤。
絶対にサードベース上で
止まらなければならない。
そんなこと簡単だろ！と
思うかもしれないが、、、
例えば、
ライトは肩は強いが
チャージが弱いから
ゴロならホームへ回せる
センターは肩が弱いから
一か八かの時は勝負できる
こうした、外野手のスキや苦手な
ところを事前に分析して
おくことも重要になってくる。
強豪チームと呼ばれ
素晴らしい3塁コーチャーが
在籍するチームでは
必ず相手チームの試合前ノックや
事前の試合でこうした能力を分析し
ノートに細かくチェックしている。
場合によっては
このコーチャーも代打などで
出場する可能性があるため
コーチャーに該当する選手に
このノートが共有され
攻撃前に分析結果を頭に入れ
コーチャーBOXへ立つ。
| 信号機だけではない
また、3塁コーチャーは信号機に
なることだけが役割ではない。
キャッチャーのクセ
ピッチャーのクセ
牽制球のパターンなど
相手のクセを見抜くことも仕事になる。
こうしたことを考えると
先日のコラムにも掲載させていただいた
目配り・気配り・心配りの
できる選手でなければ
これだけ大事なポジションは任せられない。
余談にはなるが
審判から
「コーチャーがいないぞ！」
などと注意を受けるチームは
選手が悪いのではなく
そうしたコーチャーの価値観を見出せず
指導ができていない指導者の責任だ。
コーチャーを控えという認識ではなく
ポジションという認識で
あればこのようなことは起きない。
「ファーストがいないぞ！」などと
審判は注意しない。
コーチャーはポジションだ。
| コーチャーからプロへ
ある有名な高校でキャプテン
3塁コーチャーを務め、大学、社会人、
そしてプロへと入団。
もうここまで
お伝えすれば誰だかお分かりだろう。
現在は楽天で2軍監督を務めている。
平石洋介さんだ。
甲子園では主に
3塁コーチャーを務め
伝説の横浜vsPLの死闘を戦われた。
35歳という若さで
プロ野球の2軍監督を務め
選手の育成を任せられるという
球団からの評価が全てを物語っている。
とある高校野球の監督さんが
「3塁コーチャーはチームで
一番信頼している選手を置く。
日本一の信号機ですよ」と笑った。
高校野球という大舞台。
短期決戦において
レギュラーポジションではない
この3塁コーチャーという
ポジションは1点を争う試合ではより
その責任が増す。
春の甲子園
センバツがまもなく開幕を迎える。
このポジションにも
注目選手が溢れているだろう。
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