念願の投手のポジションにつくことになり
その日から投手としての練習が始まりました。
ぼくは投手としての理想像を
膨らませながら
日々練習に取り組んでいました。
やはり投手の1番の魅力は
“スピードボール”。
速いボールを投げて
いっぱい三振をとりたい!
三振をいっぱい取ったらかっこいい!
そんなことをイメージしていました。
そんな投手になりたくて
誰よりも遠投をして
ピッチング練習でも
たくさんストレートを投げ続けました。
投手を始めてから
数ヶ月が経った時に
監督から
「お前に速いボールは求めていない。
スピードボールを投げるよりも、
スピードは遅くてもいいから
低めに丁寧にコントロールよく投げなさい。
打たせてアウトをとるんだよ」
ということを言われました。
助言を頂いたその時は
「はい」と返事をしたものの
ぼくの中では
完全に受け入れることは
出来ませんでした。
なぜなら
自分が描いていた
投手としての理想像とは
全く真逆のことを言われたからです。
確かに今のボールは遅いけど
これから身体が大きくなって
速いボールを投げられるかもしれないのに
ピッチャーを始めたばかりで…
まだ中学1年生の時点で…
“もう速いボールを投げることを
諦めないといけないのか”とも思いました。
そんな簡単に
自分の理想像を捨てきれずにいたぼくは
監督の助言を聞き入れずに
速いボールを投げたい一心で
毎日の練習に励みました。
中学野球では少年野球とは違い
変化球が解禁となります。
そのため
変化球の練習も
しないといけなかったのですが
まずはストレート。
速いストレートを投げたい!
ただその一心でした。