リリースの際に指が人差し指、中指の第2関節の伸展角度が大きくなりながら、屈曲角速度を増加させることで、バックスピン角度が大きくなり、回転数が向上するとのことだった。
今回は、屈曲角速度を増加させる目的として、ボールを押し込む動作を瞬間的に行うことで、回転数に与える即時効果を明らかにすることを目的とする。

0.目次

1.緒言
2.方法
3.結果
4.結論・考察
5.参考文献

 

1.緒言

現代野球において、
ストレートの評価基準として
空振りの取れるストレートが
良いと評価されることが多い。

Rapsodo®の測定では、
球速、回転数、回転効率、変化量など
ボールの数値の測定ができる。

永田ほか(2016)の論文では、
総変化量の大きいストレートは
コンタクトしにくいボールであると
されている。

変化量は、回転数、有効回転数、
回転効率、ジャイロの角度によって測定されるが
回転数が増えないことには
変化量の上限を伸ばしていくことはできない。

そのことから、
回転数を増やすことを目的とした
練習を確立することで
投手の成績を向上させていくことが
できると考えた。

永見ほか(2010)では、
リリースの際に
指が人差し指、中指の
第2関節の伸展角度が大きくなりながら
屈曲角速度を増加させることで
バックスピン角度が大きくなり
回転数が向上するとのことだった。

今回は、屈曲角速度を増加させる目的として
ボールを押し込む動作を瞬間的に行うことで
回転数に与える即時効果を
明らかにすることを目的とする。

図1 Rapsodo®で測定される変化量

 

2.方法

本施設のパーソナルレッスンに
通っている選手(小学6年生~高校2年生)
7名を実施。

選手から全力で投げられるといった
自己申告後、
Rapsodo®を用いて、回転数を測定。

その後、ボールを押し込む動作(図2)を
1秒間5回×2セット行い、
再度Rapsodo®を使用して
回転数の測定を行う。

1秒間についてはこちらで測定した。

ボールを押し込む動作の方法としては、
リリースの姿勢を作り
そのボールをパートナーが
動かないように抑えて
腹圧、肩、肘、手首が抜けないように注意し
腕を振る方向に力を入れる。

図2 瞬間的にボールを押し込む動作

 

3.結果

結果は図3、図4、図5、図6、図7の通り。

実施した7名中5名の回転数が向上し、
数値としては最高値は70.6、
平均値としては32.2向上した。

7人の平均値としては、22.6となった。

 

図3 検証メニュー前後のRapsodoデータの比較

図4 回転数測定 増減

図5 球速測定 増減

図6 回転数増加選手のRapsodo測定データ

図7 回転数減少選手のRapsodo測定データ

4.結論.考察

今回、回転数の最大値や
5球の平均回転数が向上した選手は
ともに7人中5名となった。

平均回転数が下がった2名のうち、
1名は回転数の最大値は
増加したがもう1名は減少した。

ただ2名は回転数が
1桁しか変化がなかった。

また球速に関しても
その2名は、最大値、平均球速
ともに低下していた。

このことからこの2名に関しては、
押し込む動作を瞬間的に行うことでは
屈曲角速度は改善されなかったと考えられる。

その他の選手は、
回転数の最大値や平均値の数値が向上した。

ただ球速に関しては全体の傾向として、
最大値、平均値ともに
7名中3名と上がっている選手が少なかった。

このことから、
球速の向上には
適していないことが考えられる。

球速が上がらず
回転数が上がる要因としては、
リリースの高さが比較的高くなっていた。

リリースポイントが
上がってしまったということは、
ボールをリリースした位置が
後ろ側に下がってしまい
高い位置でリリースされた可能性が
考えられる。

リリース位置が
後ろ側に下がってしまうと
トップの位置から加速距離が
短くなってしまい
出力が発揮できず
球速があまり変化しなかったと思われる。

永見ほか(2010)では
球速と回転数には高い相関関係にあり
投球時手およびボールは
肩関節最大外旋位から
リリースに向け
概ね弧を描くように移動していき、
できる限り後半までボールを維持することで
その両方の数値が向上していくとある。

今回の計測からは、
リリース位置が高くなったことを考えると
後半までボールを維持することは
出来なかったため
球速は上がらなかったが
屈曲角速度が上がったことによって
バックスピン角度が大きくなり
回転数が向上した可能性は考えられる。

以上のことから、
回転数を増やすために
実施する価値はあると思われる。

ただ球速には大きな変化がなかったので
後半まで維持ができるようになるためにも
腕を振る速度が上げられるようなメニューと
併用して行うことで
どちらも上がっていく可能性があると考えられる。

 

5.参考文献

ストレートに着目した空振りに影響を与える要因の定量的分析
永田 大貴 南 美穂子
https://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/65-2-185.pdf

野球投手の手指の動作一ボール回転一軌道の解析
Analysi sof Finger Movement , Ball Spin, and Trajectory in Baseball Pitching
永 見 智 行 (早 稲 田 大 ・ H 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 )
Tomoyuki Nagami (Waseda Universit,yJSPS Research Fellow )
樋口 貴俊 (早稲田大)
TakatoshiHiguchi(WasedaUniversit)y
諸星 潤 (早稲田大)
Jun Morohoshi (Waseda University)
矢内 利政 (早稲田大)
Toshimasa Yanai (Waseda University)
彼末 一之 (早稲田大)
Kamyuki Kanosue(Waseda Universit)y
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmeshd/2010/0/2010_36/_pdf

 



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