打球速度はインパクト時に大きなスイングスピードを獲得することが必要になると言われている。
また打撃動作のメカニクスとして下肢、体幹、上肢、バットへ伝達していくことでバットが加速されるとある。
そこで今回は長い棒を振るトレーニングが打球速度に与える即時効果を
明らかにすることを目的とする。
0.目次
1.緒言
現在、打球速度は
野球の現場で選手の能力を示す
指標として用いられている。
谷中ほか(1)では、
打球速度はインパクト時に
大きなスイングスピードを
獲得することが
必要になるとある。
また打撃動作のメカニクスとして
下肢、体幹、上肢、バットへ
伝達していくことで
バットが加速されるとある。
現場ではメカニクス獲得の為に
長い棒やロングバットを使って
スイングを行うことがある。
そこで今回は
長い棒を振るトレーニングが
打球速度に与える即時効果を
明らかにすることを目的とする。
図1 実際に使用した長い棒 (長さ180cm、直径2.8cm)
2.方法
本施設のパーソナルレッスンに
通っている選手(小学6年生~大学4年生)
14名を実施。
選手から全力で振れるといった自己申告後、
ティースタンドを用いて
バッティング練習で5球のバッティングを行い、
Rapsodo®を用いて、打球速度を測定。
その後普段より長い棒(図1)を
スイングするトレーニングを15回行い、
再度ティースタンドを用いて打撃し、
Rapsodo®を使用して
打球速度の測定を行う。
選手が測定時に使用するバットは
それぞれが普段から使用しているバットとし、
長い棒については
こちらで用意したものを使用した。
3.結果
結果は図2、図3、図4、図5の通り。
実施した14人中7人が
打球速度が向上し、
数値としては最高値は7.3km/h、
平均値としては2.4km/h向上した。
図2 検証メニュー前後のRapsodoデータの比較
図3 打球速度測定 増減
図4 打球速度増加選手のRapsodo測定データ
図5 打球速度減少選手のRapsodo測定データ
4.結論・考察
今回の測定では
以前、重いバット(2)、
軽いバット(3)の測定データと同様に
全体の傾向として
引っ張り傾向の打球が多く測定された。
また、打球速度が上がると
回転数や打球角度が
下がりやすいことも同様に確認できた。
今回打球速度が下がった選手に
回転数も打球角度の数値も
下がった選手もいた。
こういった選手は
動作の順番が
普段のスイングに繋がらなかったのか
結果的に動作スピードが
落ちてしまったと考えられる。
その他の打球速度が
下がってしまった選手の特徴としては、
回転数か打球角度のうち、
片方の数値が下がったが
もう片方の数値が実施前より
高く計測され
それによって数値が
向上していない傾向がある。
ただ、打球速度が向上した選手の中にも
回転数か打球角度のうち
片方の数値だけ下がって
打球速度が向上しているデータもあるため
スイングスピード自体も向上する可能性もある。
以上のことから、
長い棒を使ってスイングを行うことで
動作の順番を確認することは
打球速度を上げることに
繋がりやすいと考えられる。
また、谷中ほか(1)の内容のように
動作スピードを上げるトレーニングも
合わせて行うことで
打球速度がさらに向上する可能性もある。
5.参考文献
(1)科学的知見を考慮 した打球飛距離を伸ばすための トレーニング・練習
谷中 拓哉,森下 義隆
https://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&rct=j&opi=89978449&url=https://researchmap.jp/read0144454/misc/ 32967911/attachment_file.pdf&ved=2ahUKEwjx9oal8pSGAxW4klYBHUU- CVAQFnoECBgQAQ&usg=AOvVaw0m_eesM0mZmu6o_6qB4gC6
(2)野球において重いバットを振るトレーニングが打球速度に与える即時効果
BASEBALL ONE株式会社
(3)野球において軽いバットを振るトレーニングが打球速度に与える即時効果
BASEBALL ONE株式会社
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