前足の地面反力を大きくする練習メニューが確立することができれば腕を速く振ることができるようになりその結果後半までボールを維持できるようになることで回転数も上がるのではないかと考え、今回は、高校生を対象にした前足の膝を伸ばして投げる練習を行うことで回転数に与える即時効果を明らかにすることを検証する。

0.目次

1.緒言
2.方法
3.結果
4.結論・考察
5.参考文献

1.緒言

以前、中学硬式野球選手において
前足の地面反力を使って
腕を振るトレーニングを行うことで

回転数に与える即時効果(1)の研究では、
リリースポイントの位置が高くなりながらも
回転数と球速の数値が向上したことから

腕を速く振ることができたのではないか
考えられた。

前足の地面反力を使う目的としては、
島田ほか(2004)の論文で

球速が速い選手は
リリースに向けて
膝関節が伸展を行っていたのに対して

遅い選手はリリースに向けて
膝が屈曲していき、腰が沈んでしまい、

力が上半身に伝えられなかったとある。

これらのことからリリースに向けて
膝が屈曲していくのではなく、
伸展していく動作が

上半身の加速につながっていく動作になると
考えられたからである。

また永見ほか(2010)では、
球速と回転数には
高い相関関係にあり
投球時手およびボールは

肩関節最大外旋位からリリースに向け
概ね弧を描くように移動していき、

できる限り後半までボールを維持することで
その両方の数値が向上していくとある。

そのことから、
前足の地面反力を大きくする練習メニューが
確立することができれば

腕を速く振ることができるようになり
その結果後半まで
ボールを維持できるようになることで

回転数も上がるのではないかと考えた。

前回は中学硬式野球選手を対象にした
検証であったので、

今回は、発育状況が
中学生より進んでいる高校生を対象にした

前足の膝を伸ばして投げる練習を行うことで
回転数に与える即時効果を明らかにすることを
目的とする。

2.方法

本施設のパーソナルレッスンに通っている選手
(高校1年生3名、高校3年生3名)6名を実施。

選手から全力で投げられるといった自己申告後、
Rapsodo®︎を用いて、回転数を測定。

その後、前足の膝を伸ばして
投げるメニュー(図1)を行い、

再度Rapsodo®︎を使用して
回転数の測定を行う。

前足の膝を伸ばして投げる方法としては、
歩きながら斜め上方向に投げていくが
その際に膝が曲がらないように
リリースに合わせて伸ばすことと

体が前に突っ込まないように
投げ終わったら
後ろに着地するように
行わせた。

その際の意識として、
腕を振るのではなく
鞭のように腕が振られるように
意識することを伝えた。

図1 前足の膝を伸ばして投げるメニューの連続写真(10球)

3.結果

結果は図2、図3、図4、図5、図6の通り。

実施した6名中4名の回転数が向上し、
数値としては、最高値は96
平均値としては56向上した。

6人の平均値としては、13となった。

図2 検証メニュー前後のRapsodoデータの比較

図3 回転数測定 増減

図4 球速測定 増減

図5 回転数増加選手のRapsodo測定データ

図6 回転数減少選手のRapsodo測定データ

4.結論・考察

今回、回転数の最大値が
向上した選手が4名いたが
その中で球速の最大値も
共に向上した選手は
1名しかいなかった。

以前、中学硬式野球選手において
前足の地面反力を使って
腕を振るトレーニングを行うことで

回転数に与える即時効果(1)の研究では、
8名中5名回転数と共に球速の最大値が向上し、
逆に回転数が低下した選手は
球速の最大値も低下した。

検証人数は違うとはいえ、
中学硬式選手と高校生で違いが出た。

また、 回転数と球速の最高値が
共に向上した選手のみ実施後の方が、

リリース位置が高くなっている傾向があった。

その他の選手もリリース位置の変化はあったが
傾向としてはみられなかった。

ただ6名の実施の結果を見ると、
全員が回転数や球速の片方の数値、
もしくは両方の数値の最大値が向上している。

また6名の平均値も、
回転数が19、球速が0.2km/h
両方向上している。

最初でも述べたが永見ほか(2010)では、
球速と回転数には高い相関関係にあり
投球時手およびボールは

肩関節最大外旋位からリリースに向け
概ね弧を描くように移動していき、

できる限り後半までボールを維持することで
その両方の数値が向上していくとある。

できる限り後半まで
ボールを維持できなかったことによって、
リリース位置が高くなっている選手もいたが

それでも回転数や球速が上がったということは、
ボールを維持することはできなくなったが

それ以上に腕の振る速度が上がったことによって
球速も回転数も向上したのではないかと考えられる。

以上のことから、
腕を速く振ることができるメニューとして
行う価値がある。

ただ回転数や球速が
低下している選手もいることから、

肘や体幹が抜けてしまったり、
腕を振ってしまったりするように
実施していた可能性が考えられるので

正しく動作ができているのか確認して
実施していかないといけない。

5.参考文献

(1)中学硬式野球選手において前足の地面反力を使って腕を振るトレーニングを行うことで回転数に与える即時効果
BASEBALL ONE株式会社

野球のピッチング動作における力学的エネルギーの流れ
島田 一志 阿江 通良 藤井 範久 川村 卓 高橋 佳三
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbse/8/1/8_2004_002/_pdf/-char/ja

大学野球投手における投球動作中の地面反力の経時的変化および力積が投球速度に及ぼす影響
The influence of change in the ground-reaction forces and impulse during pitching on ball velocity in university baseball pitchers
蔭山 雅洋(鹿屋体育大学大学院)
鈴木 智晴(鹿屋体育大学大学院)
岩本 峰明(鹿屋体育大学大学院)
杉山 敬(鹿屋体育大学大学院)
前田 明(鹿屋体育大学)
九州体育・スポーツ学研究 = Kyushu journal of physical education and sport
https://researchmap.jp/nifsbaseball-kanoya/published_papers/27894672/attachment_file.pdf

野球投手の手指の動作一ボール回転一軌道の解析
Analysi sof Finger Movement , Ball Spin, and Trajectory in Baseball Pitching
永 見 智 行 (早 稲 田 大 ・ H 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 )
Tomoyuki Nagami (Waseda Universit,yJSPS Research Fellow )
樋口 貴俊 (早稲田大)
TakatoshiHiguchi(WasedaUniversit)y
諸星 潤 (早稲田大)
Jun Morohoshi (Waseda University)
矢内 利政 (早稲田大)
Toshimasa Yanai (Waseda University)
彼末 一之 (早稲田大)
Kamyuki Kanosue(Waseda Universit)y
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmeshd/2010/0/2010_36/_pdf



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