本研究では、中学硬式野球選手においてメディシンボールを用いたフロントスロートレーニングが打球速度に与える即時効果を明らかにすることを目的とする。

1.緒言

本研究では、
中学硬式野球選手において
メディシンボールを用いた
フロントスロートレーニングが
打球速度に与える即時効果を
明らかにすることを目的とする。

現場では、
スイングスピード向上を目的として
メディシンボールを用いた
トレーニングを行うことがある。

メディシンボールのトレーニングとしては
様々なものが存在する。

以前、中学軟式野球選手(1)を対象にした
メディシンボールを用いて
打球速度に与える即時効果を検証した際は、
バッティングフォームのような動作に近い
サイドスローのトレーニングを行った。

そこでは、正確にバットとボールを
コンタクトさせることができなかった。

原因としては、
重さの設定や正しい動作を
行うことができなかったことが考えられる。

フロントスローは、
下肢から生み出されたパワーを体幹及び
上肢へと伝えながら
身体末端部分の運動速度や
エネルギーを大きくすることができる。

動作としては
サイドスローに比べると簡単になっており、

それによって運動連鎖が改善され
爆発的なパワー発揮ができ
打球速度が向上するのではないかと考え、

今回はメディシンボールを用いた
フロントスロートレーニングが
打球速度に与える即時効果を
明らかにすることを目的とする。

2.方法

本施設のパーソナルレッスンに通っている

中学生硬式選手
(中学1年生4名、中学2年生3名、中学3年生3名)
10名を実施。

選手から全力で振れるといった自己申告後、
ティースタンドを用いて
バッティング練習で5球のバッティングを行い、
Rapsodo®︎を用いて、打球速度を測定。

その後メディシンボールフロントスローを行い、
再度ティースタンドを用いて打撃し、
Rapsodo®︎を使用して打球速度の測定を行う。

選手が測定時に使用するバットは
それぞれが普段から使用しているバットを使用した。

メディシンボールフロントスローの方法としては、
両手でメディシンボールを持ち、
股の下に振り下ろしていき
振り上げるように投げていくように指示した。

この際に、腕の力で投げていくのではなく
股関節の屈曲伸展を使って
遠くに投げられるように指示した。

図1 検証で使用したメディシンボール

3.結果

結果は図2、3、4、5、6の通り。

実施した10人中4人の打球速度が向上し、
数値としては、
最高値は14.7km/h、平均値が5.3km/h向上した。

10人の平均値としては、0.7km/hとなった。

 

図2 検証メニュー前後のRapsodoデータの比較

図3 打球速度測定 増減

図4 打球速度増加選手のRapsodo測定データ

図5 打球速度減少選手のRapsodo測定データ

図6 打球速度変化なしのRapsodo測定データ

4.結論・考察

10名の結果を見ていくと
4名数値が向上して、

最高値としては
14.7km/h向上する選手がいたが
逆に低下した選手は-6.0km/hとなっており
かなり変化にばらつきが出た。

ただ、5球の平均値で見比べてみると
10名中6名向上する結果になった。

平均値で見ると
向上した選手が多いことから
打球速度向上の可能性がある
トレーニングだといえる。

今回計測した10名の中でも
打球速度の最高値、5球の平均値が
向上しなかった選手は3名となった。

その3名の傾向を他の選手と見比べてみたが、
大きな違いや傾向はなかった。

ただ、打球速度の最大値、
5球の平均値がが向上した選手は、

打球角度、回転数の片方の数値もしくは
両方の数値が低下していることが確認できた。

このことからこれらの選手には、
正しく重さの設定ができ
下肢から生み出されたパワーを
体幹及び上肢へと伝えながら

身体末端部分の運動速度や
エネルギーを大きくすることができた結果、

スイングスピードが向上し
打球速度の向上につながったと考えられる。

逆に最大値も平均値も低下してしまった選手は、
発揮した出力が下がっていることから
重さの設定が正しくできておらず

スイングに影響が出てしまい
パフォーマンスが低下したと考えられる。

その選手は2名いるが、
2名とも中学1年生であり尚且つ
打球速度が大きく低下したことが特徴である。

その中の選手は、
打球速度でいうと中学1年生ながら
10名の中で一番打球速度の数値が
高い選手であることから

発揮する出力は高いことが考えられるが
それでも低下したことから

重さの設定や正しい動作の重要性が
大切だと考えられる。

以上のことから、
メディシンボールを用いた
フロントスロートレーニングは
打球速度向上の即時効果の
可能性が高いと考えられる。

ただ勝亦ほか(2017)の論文にもあるが、
その際も重さの設定や
正しい動作を行わせるように
指示する必要はある。

重さの設定に関しては、
打球速度が一番高い選手でも低下したことから
どういった選手にどの重さで行わせるのかを
検証していく必要がある。

また、以前行ったメディシンボールを用いた
サイドスロートレーニングより効果が高かったことから
中学硬式選手には、
サイドスローよりフロントスローの方が
打球速度向上につながりやすいメニューだと言える。

ただ、サイドスローとフロントスローは
目的が異なっており岸本ほか(2017)の論文では、
サイドスロートレーニングは捻転動作の修正や
獲得につながるメニューとあるので

用途で使い分けて取り組んでいくことで
さらに効果が発揮される可能性がある。

5.参考文献

(1)中学軟式野球選手においてメディシンボールを用いたサイドスロートレーニングが打球速度に与える即時効果

BASEBALL ONE

 

高校野球選手における打球スピード向上を目的としたトレーニングの効果 ~PDCA サイクルに基づいた実践報告~

勝亦陽一    森下義隆

東京農業大学 国立スポーツ科学センター

https://sports-performance.jp/paper/1660/abs1660.pdf

 

メディシンボール投げトレーニングが野球におけるバットスイングスピードに及ぼす影響について

岸本昌弘 (競技スポイーツ学科 スポーツ情報戦略コース)

指導教員 高橋 佳三

https://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&rct=j&opi=89978449&url=https://biwako-seikei.repo.nii.ac.jp/record/5060/files/292%20%E5%B2%B8%E6%9C%AC.pdf&ved=2ahUKEwiPjb6k7aqGAxX0r1YBHbu2BUcQFnoECB4QAQ&usg=AOvVaw2K7YGAU0B1zCsxZjQyO3UR



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