現在、打球速度は野球の現場で選手の能力を示す指標として用いられている。
また、野球において打席に入る前のネクストバッターズサークルで
トレーニングバット(重いバット)をスイングする練習を行ってから打席に入る選手が多い。
そこで重いバットを振るトレーニングが打球速度に与える即時効果を明らかにすることを目的とする。
0.目次
1.緒言
現在、打球速度は
野球の現場で選手の能力を示す指標として
用いられている。
また、野球において
打席に入る前のネクストバッターズサークルで
トレーニングバット(重いバット)を
スイングする練習を行ってから
打席に入る選手が多い。
そこで
重いバットを振るトレーニングが
打球速度に与える即時効果を
明らかにすることを目的とする。
2.方法
本施設のパーソナルレッスンに
通っている選手（小学4年生～高校3年生）
19名を実施。
選手から全力で振れるといった自己申告後、
約5m前の距離からのフロントトスでの
バッティング練習で5球のバッティングを行い、
Rapsodo®︎を用いて、打球速度を測定。
その後、普段より重いバット(1kg)を
スイングするトレーニングを15回行い、
再度フロントトスで投げたボールを5球打撃し、
Rapsodo®︎を使用して打球速度の測定を行う。
選手が測定時に使用するバットは
それぞれが普段から使用しているバットとし、
重いバットについては
下記の1kgのバットを使用した。
トスについては、
トレーニング前後ともに
同じ球速で実施。
実際に使用した重いバット(1kg)
3.結果
結果は画像の通り。
実施した19人中13人が
打球速度が向上し、
数値としては
最高値は14.3km/h、
平均値としては5.2km/h向上した。
検証メニュー前後のRapsodoデータの比較
打球速度測定 増減
打球速度増加選手のRapsodo測定データ
打球速度減少選手のRapsodo測定データ
4.結論・考察
全体の傾向としてセンターが
0度に対して打球速度の最高値は、
引っ張り方向
（右打者ならマイナス方向、
左打者ならプラス方向）の
打球が多く測定された。
また5球の測定の数値も
ほとんどが引っ張り方向の打球だった。
重いバットをスイングするトレーニングを
実施することによって
打球は引っ張り方向に
飛びやすいスイングになりやすくなると言える。
打球速度が上がった選手の特徴としては、
硬式球を使用している場合は、
最大値の際の打球の回転数が
トレーニング実施後の方が
少なくなっている。
逆に下がった選手は、
最大値の際の打球の回転数が
トレーニング実施後の方が多くなっている。
回転数が下がる場合は、
ボールの中心部近くを
バットで捉えている面積が
大きくなっていることで起きる。
そのように
ボールの中心部をバットで捉えることで
スイングした力をボールにも
伝えられるようになっていくことが
考えられる。
今回、重いバットを
使用することでの
打球速度増加の即時効果について
研究を行なったが、
浦田ほか(2012)は
試合用バットとトレーニングバットから
試合用バットの間で
バット先端の速度に
差は見られなかったとあるが、
今回、打球速度については、変化が見られた。
以上のことから、
重いバットを使用していくことは
次打席前のウォーミングアップとして
適切であると考えられる。
5.参考文献
実践報告 質量の異なるバットを用いた
素振りがバットのスイング速度に与える影響
Effects of the practice swing with different bats in mass on bat swing speed
浦田 達也 Tatsuya Urata 、中井 聖 Akira Nakai、中村 力 Chikara Nakamura、 伊藤 章 Akira Ito
https://www.osaka-taiikugakkai.jp/journal/vol50/50_Urata_47-52.pdf
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